油津吟 YUZUGIN

ジン

生産地   日本、宮崎県日南市油津(あぶらつ)
度数    47度
価格    5500円程度(750ml)
ボタニカル  ジュニパーベリー、柚子、山椒、生姜、きゅうりヘベス日向夏、コリアンダーシード、クローブ

概要

本格芋焼酎『甕雫』で有名な京屋酒造さんが手掛けるジャパニーズクラフトジン『油津吟』(ゆずぎん)。
ネーミングとしてはボタニカルに柚津を使用している点と生産拠点である油津(あぶらつ)をかけており、吟味して作ったという点から吟ーGINをつけています。

ボタニカルは9種類、ベーススピリッツに 「甕雫」と「空と風と大地と」 を使用しており、京屋酒造さんが培った技術と地域特産品を融合させたジンとなります。

販売時、販売後のこと

日本における「ジンブーム」を牽引し、「ジャパニーズクラフトジン」を定着させた京都蒸留所の『季の美』と本坊酒造の『和美人』。
そこから岡山や広島、沖縄などでもクラフトジンが生み出され、そうした一連の流れの一つにこの『油津吟』がありました。

鹿児島の本坊酒造さんに続いて九州では早い方での登場であり、全国的にみても初期組に入ると思うのですが、ウイスキーを作っている本坊酒造さんはともかく、焼酎を作っている京屋酒造さんがジンを作るというのは驚きがありました。
主観的に、宮崎県は情報発信力が強くない印象が強く、しかしそうした宮崎県から早いうちにクラフトジンが生み出されるというのはとても興味深いことでもあります。

販売時は生産量?の問題のためか扱っているお店が少なく、酒屋に問い合わせて取り置きをお願いして私は購入しました。
5500円というジンとしては決して安くない値段でしたが、「ジンブーム」という大きな流れの一端を体験しておきたいという気持ちが強かったために、ずいぶん前のめりだったと思います。

ネット界隈ではお酒を普段から扱っているサイトなどでは取り上げられていましたが、一般の消費者からのレビューはまだまだ少なく、購入の参考になる情報がほとんどない状態でした。

しばらくして鹿児島で本坊酒造さん以外のメーカーさんもジンを作り、全国各地で作り出されるようになってきましたが、評価はあまり芳しいものではなかったと記憶しています。
その理由として強いのが焼酎の風味が色濃く残っているという点。
焼酎メーカーさんがジン作りに参入されるケースが多く、そうなれば当然ベーススピリッツは焼酎になります。
ジンと焼酎。どちらも香味が強いお酒ですが、系統が違います。
基本的に焼酎愛飲者とジン愛飲者はほとんどクロスオーバーしないです。
ですのでジンを買うのはどちらかというとやはりジン愛好者が買うわけで、彼らにとって焼酎のフレーバーは違和感を感じてしまいやすい要素です。

「ジャパニーズクラフトジンは(一部除いて)焼酎だ」

という乱暴ではありますが否定もしきれない意見は結構ネット上で散見されました。

しかしながら、昨年に日本にて行われた東京ウイスキー&スピリッツコンペティションにて金賞を『油津吟』が受賞しました。
油津吟は比較的焼酎フレーバーが感じられる銘柄ですが、こうして受賞されたということは焼酎っぽさもあるけども、単純にお酒として評価されているということでもあるのではないでしょうか。

評価

味わい    B+
香り     Aー
入手性    B
コスパ    Bー
個人的評価  A

かなり強烈な柑橘の香り、アルコールの鼻を付く感触、焼酎っぽさがあります。
この時点で一般的なロンドンドライジンとは別物であり、そちらを愛飲されている方はこれを受け入れられるか、そうでないかでがらっと評価が変わると思われます。

味わいについては、47度という高度数を感じさせない柑橘系の甘みと酸味がけっこうまとまっていて、味のイメージがすっきり分かりやすいです。喉を通るとアルコール感があり、鼻腔を通り抜ける香りと舌に残る柑橘の後味には心地よさがあります。

販売しばらくは入手が難しい状況でしたが、今は安定して購入できます。

コスパは5500円という値段、まとまりはあるもののクセが強いという面から好き嫌いがはっきりでるので難しいです。
焼酎を愛飲されている方にとってはコスパはあまりよくないかもしれません。

私個人のまとめとしてはAをつけています。
「ジャパニーズクラフトジン」は焼酎フレーバーを含んでいるものか、それを上手く排しているかに分かれるのですが、こちらは焼酎っぽさを含んでいながらも、柑橘系の香りでよくまとめられており、飲み終わりの感触もすっきりしています。
またボトルデザインに関して、焼酎っぽいけど焼酎っぽくない。
でも洋酒と並べると少し存在感がありすぎる、という変わった立ち位置をしています。
存在感を示すという意味で面白く、最初は抵抗ありましたが眺めていると可愛く思えてくる憎めないヤツです。



コメント

タイトルとURLをコピーしました