生産地 日本、岐阜県 辰巳蒸留所
度数 46度
価格 4400円程度(500ml)
ボタニカル ジュニパーベリー、エルダーフラワー、ローゼル、ローズ、茶の花、紫蘇の花
ジンの概要
2017、岐阜県、郡上八幡に誕生した辰巳蒸留所。
その蒸留所が比較的初期に作り出した、「花」に焦点を当てたクラフトジンです。
「クラフトジン」という言葉が広まりつつも厳密な定義はされないままですし、必要ないかもしれませんが、言葉が独り歩きしている現状において本当にクラフトなジンの一つ。
ジンというより蒸留所の話になってしまいますが、この辰巳蒸留所は辰巳祥平さんが個人で作り上げた蒸留所で、ベーススピリッツにちこり焼酎を用いながら、様々なボタニカルを使用して多種多様なスピリッツを作られています。
近年での注目度がすごい蒸留所さんの一つです。
初期から生産本数が少なく、とはいえ今ほどネットオークションで売られてはいなかったので県外の酒屋の通販ページから購入しました。
このジンのすごいところ
なんといっても香りが強烈です。
ベースであるちこり焼酎由来なのか、ボタニカルで使用された花の力なのか、力強い植物の香りがあります。
ロンドンドライジンと比較したらすぐに分かるレベルで個性を放っています。
味わいも普段親しんでいるジンとかなり違っているので、面白いと思います。
ボトルデザインもクラフト感あふれた出で立ちで、薬瓶に蝋栓、手作り感とおしゃれさの塩梅がいいエチケット。
国産でありながらも「不思議な液体」感がでており、洋酒達と並べても馴染みますね。
評価
味わい Aー
香り A
入手性 D
コスパ Bー
個人的評価 Aー
香りに関しては力強さかつ独特な香りを持っています。
花はいわゆるフローラルな面がクローズアップされがちですが、アロマオイルといった精油を嗅いだことがある方ならおわかりだと思いますが、花の香りは決してふんわりとした優しい面だけでなく、苦味を想起させるような、土っぽさ・葉っぱぽさといった面も含んでいます。
そうした苦味を伴う香りが複雑に重なっており、「国産クラフトジンが持つ焼酎っぽい香り」もありますが、確かに花の香りが感じられる作りになっています。
味わいに関してはアルコール感はそこまで強くなく、鼻腔を苦味のある香り、ある種の日本酒のようなものが通りぬけ、あとにじっとりとした苦味が残ります。
甘さよりも苦味が強く印象に残る味で、一般的なドライジンに親しんでいると違和感があるかもしれません。
メジャーなロンドンドライジンとは風味がかなり違うため、そちらが好きでそのようなスタイルを望まれている方にはおすすめしにくいと思います。
入手性に関してですが、定価で購入するのはほぼ不可能だと思われます。
これが初期のほうの銘柄という点、また「辰巳蒸留所」がお酒のブランドとしてかなりの知名度を持ってしまった為、ネット上では転売品と思われるものがゴロゴロならんでいます。(定価の1.5倍前後)。
レギュラー品、かつ熟成期間を擁しないジンですらプレミアム値段がついてしまっている現状、この蒸留所と取引しているお酒屋さんを見つけ、信頼関係を作って売ってもらうしかないですね。
スピリッツ系のイベントにはたびたび出店されていらっしゃるので、機会があればそちらに足を運んでみるのもいいかもしれません。
定価で変えればコスパは良いのですが、転売品価格での購入となると他にも選択肢が生まれてしまいます。たぶん、良いジンが2本くらい買えます。
個人的なまとめとしては、ジンとして面白く、美味しい銘柄なのですが、結構独特なので購入される前にBar飲みを一度おすすめします。
その上で酒屋さんを地道に周るか、ネットオークションやネットフリマで購入するか判断されると良いと思います。
なにはともあれ、日本にこうした「個人による蒸留所」が作られ、ジンやアブサンが生み出されているというのはとても興味深い動きです。
ジャパニーズウイスキーだけでなく、国産による洋酒が生み出され評価されていくこの流れに立ち会えるのは、酒飲みとしては幸運だと思えるわけです。
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