宮崎県のクラフトジンって何があるのか?
いやー、ようやくこうした「飲み比べ」ができるとこまで宮崎県もやってまいりました。
隣県鹿児島県に遅れをとり、なかなか国産洋酒の誕生が目の当たりにできない時期が続きましたが、ようやく4種類ものクラフトジンを比較できるようになりました。
宮崎県産のジンをまだまだご存知ない方も多いと思いますのでまずは紹介を。
まずは焼酎『甕雫』で有名な京屋酒造さんから『油津吟』です。
『油津吟』 5500円程度
ボタニカル:ジュニパーベリー、柚子、山椒、生姜、きゅうり、ヘベス、日向夏、コリアンダーシード、クローブ
特徴:焼酎っぽさを割と残しつつも強烈な柚子香や味わいで意外とスッキリ飲める。
国産クラフトジンの初期組の一つであり、「当初はジンというより焼酎だろ」という評価もあったものの、東京ウイスキー&スピリッツコンペで金賞(2019,2020)をとっており、お酒として一定の評価がある。
※油津吟レビュー→https://tatsunarisake.com/?p=310
続いて同会社より二弾目となるジン、『HINATA』
『HINATA』 5500円程度
ボタニカル: ジュニパーベリー、日向夏、キンカン、ヘベス、シナモン、カルダモン
コリアンダーシード、カモミール、レモンバーム、クローブ、スペアミント、山椒
ピーマン(宮崎産)、八角、ローズマリー、フェンネルシード、生姜(宮崎産)、黒ごま
特徴:『油津吟』に比べて飲みにくさにつながる焼酎っぽさを消しつつ、カルダモンの風味を前に出しているジン。女性バーテンダーや画家が携わっていることから女性にも楽しんでもらいたいという意図がみてとれ、味わいに反映している。
コンペでは銀賞(2019)と金賞(2020)と連続で受賞しており、国産クラフトジンが充実してきた中にあって一定の評価を得ていることがわかります。
3作目として、桜の郷酒造さんが生み出した『GINnez』。
『GINnez』 1000円程度(200ml)
ボタニカル:レモン、ジュニパーベリー、日向夏、コリアンダーシード、チップ(桜)、チップ(日南産飫肥杉)、レモングラス
特徴:焼酎っぽさとジンの要素を共存させつつ、しかしジンの主軸たるジュニパーよりはレモンの風味が強いというジン。柔らかい味にレモン+ヨーグルトの酸味が効いた香りが漂ってくる。
飲みやすく、そしてはっきりしているレモンの存在感。
200mlで1000円で単純にフルボトル計算すると3500円。
値段としても国産ジンにしては安い方にはいるのもポイントです。
最後に、今は多少落ち着いたもののプレミア焼酎の一つである『百年の孤独』を製造している黒木本店さんの関連会社、尾鈴山蒸留所の『OSUZU GIN』
『OSUZU GIN』 3900円程度/700ml
ボタニカル:ジュニパー、山椒、金柑、柚子、椎茸、日向夏、生姜、榊
特徴:地元の生産品を原料としてこだわっており、製造も蓄積している技術をもとに独自の製法で行っている。端的に特徴を言ってしまえば、飲み口のスムースさと森を想起させる木っぽさ。
焼酎っぽさは感じられず、4種類のジンの中では異彩な存在感を放っています。
ストレートでの比較
基本的に4種類とも、スタンダードジンに比べそれなりの価格のするジンでありストレートでまずいということはないです。(好みによる飲みにくさの違いはあると思います)
ただしジンの持つ個性がそのままでてくる飲み方であるため、スピリッツを飲み慣れているか、あるいはジンが好きでないとそもそも普通に飲みにくい部類のお酒だと思います。
なのでそのまま飲むのはスピリッツ・ジン愛好家であり、そこを想定して感想を書いていきます。
単純にそのまま飲んで一番美味しいと私が思えるのは『OSUZU GIN』と『油津吟』でした。ただし両者ともキャラクターが違うので好き嫌いで分かれると思います。
男性で、そのまま飲んで美味しい、あるいは面白いのは『OSUZU GIN』。
焼酎っぽさが柚子の風味と混ざり合い、ヘビーだけど爽やかな『油津吟』。
カルダモンのスパイシーさがとにかく目立つ『HINATA』。
レモンの存在感と独特の甘みが面白い『GINnez』。
日頃、ジンをストレートで飲まれる方にはやはり『OSUZU GIN』か『油津吟』が私はおすすめです。
トニック割での比較
日頃はストレートで飲む私ですがせっかくなのでトニック割も比較してみました。
使用したトニックウォーターは入手性を考えシュウェップスに。
割るとはいえ4杯も飲むと結構酔いが回っていましたがそれでも明確に違いが分かるほどそれぞれのジン達が本来もっている個性の強さが伺えます。
今回は結論から言うと、「どれもそれなりにおいしいのでもう好みで選ぶしかない」ということになりました。
それぞれの感想を残しておくんで参考になれば幸いです。
『油津吟』 濃厚な柚子レモンチューハイ。飲みごたえのある味と強さ、割ることによってクセも和らぎ、飲みやすくなります。砂糖的な甘さではありませんが甘みが強く感じらます。
『GINnez』 レモン汁を入れないレモンチューハイです。香りがシンプルにレモンであり、単純に一番飲みやすく、シンプルに美味しい。コスパもいいのでトニック割でガンガン飲むならコチラで間違いないと思います。
『OSUZU GIN』 不思議な味です。木の香りがするジンのトニック割です。甘くなく、木々の香りが残っていく。女性受けという点では難しいと思いますが、男性は好きな味だと思いますね。
『HINATA』 こちらも非常に飲みやすく、スパイシーなカルダモンの香りと優しい甘みが楽しめます。私個人は苦手ですが、逆に女性受けが一番良かったのはこれだったので、制作に携わったバーテンダーの目論見は成功しているんだなあと思い知らされました。
総括
乱暴に言えば、
・そのままストレートで飲むならどれも楽しめるがイチオシは『OSUZU GIN』
・日頃ジンを飲み慣れない方が割って飲むなら『HINATA』
・焼酎オッケー、柑橘オッケーならストレートでも割っても『油津吟』
・毎日ジンを割って飲みたい、コスパ良好『GINnez』
という感じに落ち着きました。
とはいえどのジンも基本的にそのままのんでも割っても普通に美味しいです。
ただジンの性質、国産ジンの個性の強さから個人の好き嫌いが大きく反映されそうな気はしてます。
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